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『演出』のススメ。

こんにちは、びびんばーです。

 

さて、皆さんはゲーム製作(あるいは創作物全般)において、何に特に力を入れていますでしょうか。壮大で緻密なシナリオだったり、自作の素敵なイラストを出したり、音楽にこだわったり、凝ったマップ作りだったり、オリジナリティ溢れるシステムだったり、あるいはSRPGの攻略面での完成度だったり。全て出来れば言うことなしですが、フリーゲームでそこまでは難しいと思いますし、自分が「これ!」と言えるものがあればそれで良いと思います。

私がフリゲ製作でこだわっているところ、言い換えると作っていて楽しいと思うところは、ズバリ「演出」です。演出と言ってもとても幅広いものですが、分かりやすく言うなら「そのシーンを盛り上げる為の仕掛け・アイデア」でしょうか。演出というものの良いところは、絵が描けなくてもシナリオが苦手でもSRPGの知見が薄くとも、工夫すればプレイヤーの記憶に残りやすいものを作れるところです。まあ、アイデアの引き出しは必要だと思いますが。何年か経ってもふと思い出されるゲームの1シーン、それを実現できるのが演出の素晴らしさだと思います。

では具体的な例を見てみましょう。手前味噌ですが自作のこだわった演出の一例です。『Mistria Horizon』のクライマックスシーン(ルートは禁呪を渡すルートです)において、戦闘アニメーションで操作キャラの後ろに別のキャラがオーバーラップするという視覚的な演出があります。特に言葉で補足せずとも見た人にはハッとするようなインパクトが残せたようです。前述の「記憶に残りやすいシーン」なのではないかと思います。これは私のオリジナルアイデアなどではなく、元ネタがありまして、法廷アドベンチャーゲーム『逆転裁判3』のクライマックスシーンで、主人公にその亡くなった師匠の姿がオーバーラップするシーンがすごく印象的だったのでマネしました。

次に『水桜記』のこだわった演出について。作中度々出てくる葛籠時継の大声と、「あああ!声が大きいわ!」と投げやりに怒る父・時政のやり取り。これを繰り返す使うことでコミカルな定番のやり取りとしてしておき、ゲーム後半のシリアスな場面にも入れることで何だか切ない雰囲気を出した(つもりです)り、終盤にいつもと逆の立場で同じような場面を出すことでキャラの立ち位置の変化を描いたり。これは大河ドラマ『真田丸』の序盤の室賀正武の名セリフ『黙れ小童ぁ!』から着想を得ています。ドラマ終盤に、このセリフを言われ続けた真田信之が室賀の息子に逆にこのセリフで一喝するシーンも含めて面白い演出でした。

自作と言いつつ他を真似した演出の紹介かよ!とツッコミを受けるかもしれませんが、前述の通り印象に残っている演出だからこそ自分の中の引き出しになっていますし、何か基礎がないと応用は作れないとも思いますので。。。

シナリオに密接した計算高い演出や、イラストを効果的に使った演出など、持っているスキルがあればそれと組み合わせた演出の可能性は更に大きくなると思います。しかし大掛かりなものでなくとも、音楽の挿入タイミングを劇的になるよう工夫したり、逆に無音にしてみたりなど、ちょっとした工夫で効果を期待できる演出も沢山あります。そんなちょっとした演出でも積み重なると作品がいきいきとしてくると思います。

ベースとなる作品の面白さがないとそもそも演出まで目がいかない、ということもあるので演出ばかり考えても仕方ないかもしれませんが、私の場合「こういう演出を実装したい!」という気持ちが製作のモチベーションとなることが往々にありました。
時には製作の主流から離れて、作品の魅力をグッと引き上げる演出に時間を割いてみるのも楽しいですよ。